映画「蜩ノ記」を観ました。
原作未読。
とある罪状で切腹を申しつけられたものの、藩の家譜編纂のために10年の猶予を与えられて幽閉されたお侍さんと、彼が逃げ出さないように見張ることになったお侍さんのお話。
たぶんまんがか何かで読んだ知識だと思いますが、社史編纂の部署というのは窓際の閑職みたいな扱いのイメージがあったのですが、
本作の家譜編纂というのは、御家の立場が懸かった重要な役割のようで、そんな要職を曲がりなりにも罪人に与えているところからして藩の体制の歪みを感じられる気がしますけれども、それだけ役所広司さんの人が優秀だったということなのかもしれません。
大殿様にしても御家老様にしても、役所広司さんの人に対する信頼が篤いようで、縁故って大事だなあ、みたいな。
歴史は鏡だといいつつ、たしか「歴史」という単語の語源は「書かれたもの」だという話をどこかで聞いたことがあって、ことほどかようにして歴史というものは権力者に都合よく編まれていくのかもしれません。
お侍さんの武士道精神というのは、やはり社畜精神と変わらないような気がします。
とはいえ、道を踏み外した上司に拳骨を喰らわせるのは、それなりに爽快でもあります。
なんだかんだしても結局は腕力で決着するあたり、体育会系っぽいです。
御家老さんも本人は倹約家だったりして、金銭目当ての癒着だけには見えなかったのですが、そのあたりの背景はもう少し説明が欲しかった気がします。
見張り役の岡田准一さんの人が、役所広司さんの人と一緒に暮らすうちに徐々に感化されていく感じが、なんだかよかったです。
ああいうのが人徳というのかしら。
岡田准一さんの人は立ち居振る舞いもかっこよくて惚れ惚れします。
刀さばきとかめちゃめちゃかっこいい。
堀北真希さんの人もお美しい。
そんなこんなで、よいものでした。