風に乗りて歩むもの

原田宇陀児「風に乗りて歩むもの」(ガガガ文庫)を読みました



アメリカ合衆国とカナダの国境近く、五大湖のひとつヒューロン湖に浮かぶマニトウ島に、世界中に建設されたテーマパーク「イーグルランド」のひとつ、「イーグルランドマニトウ」があります。

この「イーグルランドマニトウ」が誇るローラーコースターで、
「イーグルランド」を運営するイーグルグループ総帥の一人娘、サマンサ・イーグル嬢が消失してしまいます。

同級生のジェイド・フィッシャー嬢、グラニット嬢といっしょに3人で乗り込んだにもかかわらず、
ローラーコースターが一周する間にサマンサ嬢だけが消失したという不可解な状況で、
現地の言い伝えにある「ウェンディゴ」、または、「イタカ(イタクァ)」の仕業ではないかという説まで出てきます。



一方、消失したサマンサ嬢の同級生、グラニット嬢は、警察のマック・アローニ警部から、タクシードライヴァー兼私立探偵のボギィさんに預けられて、家へ帰ろうとしますが、
その途中、正体不明の相手から襲撃されてしまいます。



果たして、サマンサ嬢の消失と、イーグルランドマニトウで起きた事件の真相は?

はたまた、謎の少女グラニット嬢と老タクシードライヴァーボギィさんとの逃避行の行く末は?



……ということで、
密室・不可能犯罪とクトゥルフ神話とが融合したようなミステリー成分と、
少女と老人の逃避行というセンチメンタルな成分とが重なり合った、
なんとも不思議な雰囲気のお話でした。

ボギィさんを主役として見れば、ハードボイルドとも言えるかも知れません。



『これが男のガガガ文庫だ!』だそうで、
またひとつ、らのべの懐の深さを知ったような気がします。


オモイデ教外伝は途中で挫折して罪っ放しですが、再トライしてみようかしら。