アナと雪の女王 感想

映画「アナと雪の女王」を観ました。

2D吹替版。

原作はよく知りません。

とある王国の王女姉妹のミュージカル風なお話。
予告編等で散々流れていて耳に付いて離れない「Let it go」ですが、日本語版でも迫力充分。
その場面までの積み重ねもあいまって、雪の女王エルサさんに感情移入してしまいます。

以下、ネタバレ注意

















ハリネズミのジレンマ的なお話の類型になろうかと思われます。
触れたものを凍らせてしまう魔力を持った姉エルサさんと、天真爛漫な妹アナさん。
はたして妹さんはお姉さんの凍りついた心を溶かすことができるのか。みたいな。
王子様や氷売りさんといった、いわゆる「王子様役」の男性も登場することはしますけれども、ほとんどおまけ要素。
すべては姉妹の物語に収束します。
姉妹ゆりばんざい。
まさしく、愛。
このお話を教訓に、女児さんたちが男を警戒するようになればいいと思います。

そんなわけで、主人公というか視点は妹さん中心に描かれますが、主眼はむしろお姉さんの心情に当てられます。
自分ではどうにもならない、大切な人を傷つけてしまいかねない凶暴な力を持ってしまったが故に、他人と距離を置かざるを得なかったお姉さんが、自分だけの城を築き上げ孤独という自由を獲得していく場面で歌い上げる「Let it go」は、その力強い解放感とは裏腹に、雪の女王の悲痛な決意が込められているかのようです。

悪役がもっと狡猾で用心深かったら、こうもハッピーな結末にはならなかったような気もしますけれども、男の浅知恵なんて所詮そんなものなのかもしれません。

併映の短編「ミッキーのミニー救出大作戦」(たぶんこんな題名だったはず)にも見られる一方的で無邪気な正義感と、国を雪で閉ざし危機に陥れた悪の女王に対する救済の視線とは、どこかしら矛盾を感じてしまいますけれども、正義なんていう概念が捏造されるものであるならば、それもまたそんなものなのかもしれません。
旧態依然としたミッキーさんと悪役さんとのやりとりに対して、むしろ救出されるべきミニーさんの案外に自由でたくましい姿こそが、あるがままなのかもしれません。

一見して悪役にも見える雪の女王に救済が与えられる一方で、やはり悪役は悪役でしかなく排除されるという、どこか偏った正義感は、だからこそより一層、二次元的な偏執へと向かいかねない危険性を抱えているようにも思えます。