アズミ・ハルコは行方不明 感想

映画「アズミ・ハルコは行方不明」を観ました。
12月23日、新宿武蔵野館にて。
リニューアル後、初。
スクリーンが小さめで、もう少し前の方の席にすればよかった。

地方都市(ロケ地は足利市?)で生活する人たちのお話。

時系列が入り組んでいて、複雑な構造っぽいです。



よくわからない部分が多いので、頭の整理がてら、がっつりネタバレ書きます。


3行で

JK強い

荒ぶるJKの集団が夜道を独り歩く男性を襲撃する世界。
とても恐ろしい世界ですが、一部の層にとってはご褒美みたいな側面もあるかもしれない、なんていう甘い部分は微塵もなく。
殴る蹴るという単純で情け容赦のない純粋な暴力の嵐です。
男性はただただ怯えるしかありません。

とはいえ、どうやらこのJK集団は概念的な存在のようでもあります。
怨念のような恨みつらみが全くないわけでもないのでしょうけれども、どちらかというと快楽とか享楽を求める存在のようです。

女性に限ったことではありませんが、テレビのニュースなどで行方不明事件が報道されると、監禁されているのではないかとか、既に殺されているのではないかとか、下世話で無責任な憶測がネットを飛び交うことがあります。
本作でも、行方不明となったアズミハルコさんの顔写真が広まると、そういった下賤な勘ぐりがネットを飛び交う描写があります。

しかしそうではなく、姿をくらましているだけでどこか離れた場所で元気に暮らしているのかもしれない。そんな悲痛で哀切な祈りから生じた、人々の願望が具現化した存在が、あのJK集団なのかもしれません。
ミニスカートにブレザー風の制服を着崩していて、個別の確固たる個人というよりも、《JK》という記号を体現する集団です。
中には後期高齢者に相当しそうな女性も制服姿で集団に紛れ込んでいたようにも見えました。


高畑充希さんのギャル感もすごい

ものすごくチャラチャラした、ギャルギャルしたギャルでびっくりしました。
なんかすごいです。

後半おとなしくなってしまったのは男性陣(シャツをズボンにINするタイプ)の影響もあったりしたのかしら。

ビリギャル見てなかったなーと思ったけどあっちは有村架純さんでしたっけ。


蒼井優さんはわりといつもの蒼井優さん

舞台といい、くたびれた感じといい、『オーバーフェンス』と重ねて見てしまう部分が少なからずあって、作品に対して失礼な見方をしてしまったかもしれませんけれども、なんかこういうメンがヘラった役柄のイメージが続いているような気がしないでもありません。
演技なのでしょうけれども素なのではないかと心配になる勢い。


チャットモンチー

良いです。

そういえば劇中でJK集団が歌ってた歌、何かのヒーローものの主題歌かと思ったのですが、よくわからなかったんですよね。
聞き取りにくかったし。
エンディングクレジットの劇中歌「スカートの歌」というのがそれなのかしら。


劇中で27〜28才くらいの蒼井優さんと、20才くらい(成人式の場面もある)の高畑充希さんと、2つの視点が交錯するのですが、どうにも時間的な前後関係がわかりにくくなっています。

大まかには、高畑充希さんの時間軸は蒼井優さんが失踪した後の時間軸であるはずなのですが、時折、高畑充希さん時空の出来事が失踪前の蒼井優さん時空に影響しているように見える場面もあったりして。

とはいえ、高畑充希さん時空と蒼井優さん時空の接点がJK集団であり、上記のとおりJK集団が概念的存在として時空を超越しているのであれば、
つまり、高畑充希さん時空でキルロイの活動から派生した存在であるはずのJK集団が、時空を超越して蒼井優さん時空に干渉することもできるのかもしれません。
蒼井優さん時空ではJK集団が夢だったか現実だったか曖昧な描写だった気もしますし。
彼がJK集団に暴行されてケガしたのは事実だとしても、あのJK集団と高畑充希さん時空のJK集団との関係ははっきりしてなかったはず。


そんなわけで、よくわかってないのが正直なところです。

ただ、JK集団が映画を見ている場面が、『まどか☆マギカ』で上条くんの演奏ステージを客席から見守るさやかちゃんさんの姿と重なったような気がしたのでした。