怒り 感想
映画「怒り」を観ました。
9月17日、シネマサンシャイン池袋にて。
原作未読。
凶悪な殺人犯が逃亡中の折、東京・千葉・沖縄の3ヶ所にふらっと現れた身元不明の男性と、彼と関わる人たちのお話。
いちおうネタバレに配慮しようと、どれがどのパートなのか明示しないように気をつけつつ。
とまれ、「信じる」ということの難しさなのだろうと思います。
クローズドサークルな推理ものの亜種かもしれませんし、
あるいは「人狼」ゲームのようなものかもしれません。
ひょっとしたら、あの人が凶悪犯なのではないか、という疑念と、
それでもなお信じ抜くことができるのか、という信念と。
あるいは、自分の大切なものを守りたいがために、疑わしいものを遠ざけようとする気持ちと。
あるいは、裏切られたのではないかという勘違いから大切なものを手放してしまうすれ違いと、失ってから気づく後悔と。
あるいは、自分の無力さ無知さ無防備さをまざまざと見せつけられて、思い知らされて、それでも何もできない居たたまれなさと。
傷付いた当人の心の内は、正直なところ想像の及ばない領域で、おそらく現場を見ていなければ無遠慮無責任に慰めの言葉をかけることもできるかもしれないというか、下手したら触れてはいけない部分を踏みにじってしまいかねないと思うものの、あの現場を見てしまった上に何もできなかったという後ろめたさまで重なると、どう接したらいいのかもわからないし、腫れ物に触れないように遠巻きからそっと見守るくらいしかできないのかもしれません。
もしくは、自分だったら近くに居ることすらつらくなって、距離をおいて逃げ出してしまうかもしれません。
彼は逃げずによく立ち向かったとも言えるかもしれません。
大事MANブラザーズバンドの「それが大事」の歌詞を思い出します。
でも負けないこと
投げ出さないこと
逃げ出さないこと
信じ抜くこと
ほんとに大事なことなのだろうと思いますが、同時に、とても難しいことなのだとも思います。
『怒り』は自分の弱い心に負けてしまって、投げ出したり逃げ出したりしたくなったり、信じ抜くことができなくなったときに、沸き起こる衝動なのかもしれない、などと思いついてみたりしました。