花芯 感想

映画「花心」を観ました。
8月13日、テアトル新宿にて。
原作未読。

主人公の女性は、本人は賢いつもりで振る舞っているらしいのですが、彼女の言動自体はどちらかというと情欲に溺れているほうが人間としてリアルだ、みたいに見えました。


終戦のラジオ放送を聞いても、これまではお国のためにと言ってたのがアメリカさんのためにと替わるだけなのではないかみたいな醒めたことを言ってみたり。

資産家の父親がお妾さんのところで服上ししたらしいあたりで、なんか皮肉を言ってみたり。

ご両親の取引関係か何かのつながりで縁談が進んでも、結婚なんてあくまでも制度的なものにすぎない、みたいな態度で、夫となる林遣都さんを軽くあしらってみたり。

正直なところめんどくさいだけの人に見えてしまい、あんまりお近づきにはなりたくないタイプの人に見えました。


夫である林遣都さんの転勤に伴って、京都へ引っ越してから、次第に生活が変化していきます。

林遣都さんの上司で、同じ大家さんの下宿に住んでいる安藤政信さんに色目を使ってみたり。

画家志望だか音楽家志望だかのワナビ気味な美大生にちょっかい出してみたり。

心の赴くまま、体の赴くままに、情欲に溺れていきます。


ちょうど前日に見た「夢二」と男女が反転したような関係にも見えました。

ただ、夢二さんは有名な画家先生というアドバンテージがあったのに対して、この主人公の女性には、複数の男性を魅了するだけの魅力があったのかというと、正直なところよくわかりません。

しいていえば、林遣都さんの役柄や美大生あたりはあまり女性慣れしてなさそうな純朴な人だったので、外見的な要素だけでもコロッと転んでしまうことはあったのかもしれません。

が、安藤政信さんの役柄は、ちょっとめんどくさい事情を抱えていたのもありますが、基本的には仕事のできるイケメンという設定だったはずで、少なくとも女性に困るような立場ではなさそうに見えたのですが、どうしてあんなことになっていたのやら。
ある意味では弱みにつけ込んだという見方もできるかもしれません。

心配してくれている妹さんに対してトンチンカンなお説教をしてみたり、自由を謳歌してるみたいなことを言っていたような気がしますけれども、
傍から見ていると、単に自分勝手なワガママで周囲を振り回す厄介な人でしかないように思えてしかたありませんでした。