FAKE 感想

映画「FAKE」を観ました。
9月3日、シネギャラリーにて。

佐村河内守氏を、あの騒動以降に密着したドキュメンタリー。

ものすごく意欲的な作品なのでしょうけれども、今のぼくではこの映画を飲み込める気がしません。


テレビ局の人たちが佐村河内守氏に番組への出演を依頼しに来る所が映されています。

テレビ局側としてはあくまでも佐村河内守氏自身の言葉でその主張を表明してほしいというスタンス。

一方で佐村河内守氏側としては、事実と異なる内容を報道していることに対して、謝罪や訂正を放送してほしいというスタンスに見えました。

この段階では、映画としてはどちらかに肩入れするわけではなく両面的に描こうとしているかのように思いました。

が、佐村河内守氏が出演を断ったバラエティ番組に新垣隆氏が出演していて、その番組の放送を佐村河内守氏は自宅のテレビで見守るという構図、しかも新垣隆氏がお笑い芸人さんたちにいじられているのを苦々しい表情で見ている佐村河内守氏の姿を見ると、心情的には佐村河内守氏側に寄っていってしまいました。


外国の雑誌の取材に応じる場面も収録されています。

こちらはものすごく率直に、クリティカルな部分にズバズバ切り込んでいきます。

佐村河内守氏は今までと同じように自分の主張を繰り返しますが、彼が提示するのは設計書だか仕様書だかみたいな、言葉や図で観念的な説明を書き綴ったものでしかなく、音楽的な、具体的なメロディー、旋律や音符の類は表記されていないため、この指示書をもってして「作曲」していると主張するのか?、という記者の問いに、答えられずにたじろぐ佐村河内守氏の姿も見られます。

このとき取材されたものが最終的にどういう記事になったのかは存じませんけれども、
この前に出てきた日本のテレビ局の人たちとはずいぶん違う手厳しい態度に見えました。


最後の場面、密着取材をしていたこの映画の監督が佐村河内守氏にとある質問を投げかけるのですが、その返答を待たずにぶちっと幕が下ります。
どういう意図だったのか、彼は何と答えたのか、さっぱりわからず戸惑いだけが残ります。


あと、猫。
にゃー。