ヤクザと憲法 感想

映画「ヤクザと憲法」を観ました。
5月2日、ポレポレ東中野にて。

大阪の指定暴力団の事務所に密着取材なドキュメンタリ。

構成員というだけで社会から排除されようとしているということのようですが、そもそも一般社会に居場所のない人たちが集まっているようにも見えるので、そういう人たちの受け皿をしっかり整備するか、もしくはいっそのことああいう団体をうまいこと利用するくらいのことをしたほうがいいのではないかと思ったり。

現状ではどうにか統率がとれていても、組織ごと解体みたいな荒療治をしようとしたらそれこそ行き場のないはぐれ者の人たちが街中に散らばって別の形で荒くれそうというか。

居場所があるだけでもずいぶん違うなではないかと思うのですけれども。

作中の居酒屋のおばちゃんだったかが「何かあっても警察は何もしてくれないでしょう?」みたいなことを言っていたのも印象的。

国家権力に対する不信感みたいなのを払拭するのはたいへんそう。

密着取材といっても、取材対象と正式に取り決めを交わしてのものなためか、組の人たちも相当にカメラを意識しているのか、危なそうな部分はできるだけ見せないようにしていた感じ。
たぶん組の側でもメディアを通じて自分たちの窮状を訴えたいのかなあ、というように見えました。

そのおかげか、なんとも生活感のあふれた映像になっています。
だらっとタバコをふかしながら談笑していたり、掃除や炊事、洗濯、布団の上げ下げ。
見ようによっては、日中ぐだぐだしているだけのように見えなくもありません。
いちおう電話番みたいな役割だったのかもですが。

シノギについてもわりかし秘匿傾向で、収入源みたいな部分はぼやかされていたように思います。

もう少しうまいこと労働力として活用する道はないのかしら。

そういえば組長さんは61歳ということだったと思いますが、見た目が若いです。
めちゃめちゃかっこいいおじさまといった風。
還暦の赤いちゃんちゃんことか似合わなそうな気がします。。

指定暴力団の顧問弁護士をしていた男性も出てきます。
ぼく自身は知りませんでしたが、ニュースにも出てくるような人で、マンガや映画の原作も書いてらっしゃるとのこと。

昨日の『スポットライト』でも感じたことですが、社会的に悪とされているような依頼人を弁護するのは相当にたいへんなのだろう思います。
そういう方々の尽力があってこそ公正な社会秩序が保たれているはずなのですが、そういう方々への風当たりが強くなってしまうのはなんとも複雑な世の中だなあと思ってしまいます。