Zアイランド 感想

映画「Zアイランド」を観ました。
(音声注意)KADOKAWAオフィシャルサイト

ゾンビものジャンルをあまり見た経験がないので、この作品がどのくらいの位置付けになるのかわかりませんけれども、個人的には、おもしろかったです。

ゲラゲラ笑う意味でも、ドキドキハラハラスリリングな意味でも、興味深い意味でも。

容赦ないところも含めて。

PG12指定だったと思いますが、けっこうグロテスクな描写もあるので、うへぇってなりました。
苦手な方は要注意。

とかいいつつ、グロテスク描写もけっこう凝っていて、
肉を喰いちぎる感じのみちみちねちょねちょ感とか、
腕がちぎれてぷらんぷらんしてたりとか、
足が折れて変な方にぐんにょり曲がってたりとか、
上半身だけでもそもそ匍匐前進してきたりとか、
串刺しになってぐねぐね蠢いていたりとか、
脳天からざっくり斧で叩き割られたりとか、
刀ですぽーんと首を飛ばしたりとか。

グロテスクというか、スプラッタですかしら。

あと、目の瞳孔というか虹彩?がなんか気持ち悪いです。
言葉でどう表現すればいいのかわかりませんが、白目をむいて、ぐりっとしたような、かっと見開いたような、目。
怖いです。

動きも、腕をぶらーんと下げて肩を前後させる走り方が、気持ち悪いです。
ってか、キモい。

それでいて、自転車やバイクに追いつくくらいの全力疾走してくるので、怖いこと怖いこと。
まじキモーい。


  • -

たぶん整合性とか理屈みたいな部分はあまり考えずに楽しめば吉だろうと思います。

既存のゾンビものジャンルの映画における分類として、ウィルス性のものや薬物性のものがあるだとか、動きが速いものや遅いものがあるだとか、なんやかんや、風間俊介さんが解説してくださるわけですが、結局のところは、映画をはじめとする創作物から得た知識なんざ現実には通用しやしない、ということみたいです。

(余談ですが、風間俊介さんはテレビ番組「ニッポン戦後サブカルチャー史」の印象が強かったので、すごく適切な配役に思えました。)

脳天に打撃を与えても効果がないのに、銃弾ならば効果あり、とか、いまいち理屈がわからなかったりしますし。
全弾が額の中央に命中とか腕前がよすぎですし。
あの人たちは食糧を欲しているのか繁殖を欲しているのかもよくわからんですし。


  • -

ともあれ、黒髪ロングな女子高校生さん(山本舞香さん)の格闘アクションがめちゃめちゃかっこよくて、もっと見たかったです。

もうひとりのギャルギャルした女子高校生さん(水野絵梨奈さん)も、いかにもな女子高校生さんなわけですが、そしてこちらもアクションも含めて良かったのですが、

やはり「黒髪」で「ロングストレート」で「制服」といういかにもな記号が、ものすごく効果的です。

その細身の体躯から繰り出される蹴り、ハイキック、跳び蹴り、回し蹴りといった足捌きの、素晴らしいこと。

打撃系だけでなく関節技もこなしているわけですが、あの脚に挟まれたり絞められたりで女子高校生さんと密着できるというのは、なんだかうらやましくも見えてしまいます。

(以前、そういったサービスを提供する商売が摘発されたみたいなニュースがあったように記憶していますけれども、それだけの需要があるという証左なのかもしれません。)

黒ロンJKさん、まじ、すばらでした。



ついでといっては失礼ですが、黒髪ぱっつんな女性看護師さん(シシド・カフカさん)も素敵です。


  • -

お話としてはいろんな要素を詰め込み詰め込みした感じで、序盤は視点があっちこっち分散してわかりにくいようにも思いましたが、合流してからは、まあまあまとまっていたのかもしれません。

なんだか無理やり取って付けた風にいい話要素を盛り込んだりもしていましたが、なんというか、容赦ないですね。

ああなってしまってはもう仕方ないのかもしれませんけれども。

よくわからない愛の力でハッピーエンド、みたくならないのは、好感度高いです。

結末に向けての仕掛けも、わりかし露骨ではあるのですが、合間に一呼吸置いて、「おや?、あれは伏線じゃなかったの?」、と思わせてからの、「ああやっぱり」、という感じで感情の起伏をコントロールされている感覚は、やはりお笑い分野の土壌があるためでしょうか。

素直に巧みだなあと感心すると同時に、手玉に取られたみたいで悔しくも思います。

笑いも恐怖も、突発的な瞬発力が要なのかもしれません。

恐怖には鮮度がある、みたいな話に近いのかも。


  • -

ゾンビ×任侠さんという題材ががちかぶりな『極道大戦争』も6月に公開予定らしく、こちらも楽しみです。

龍三と七人の子分たち』も任侠さんな上に、ある意味ではゾンビものといえなくもないわけで、
不思議な同時代性みたいなものの表出なのかもしれません。

→ 龍三と七人の子分たち 感想 - 思い出の小箱の隅