クレヨンしんちゃん2015 オラの引越し物語〜サボテン大襲撃〜 感想

映画「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語〜サボテン大襲撃〜」を観ました。

野原ひろしさん立身出世のお話。

予告編でも示されていた通り、突然の引っ越しということで、

前半はお別れパートとしてこれまでの登場人物が大勢出演(知らないキャラもちらほら)でしたが、

後半は新天地での大騒動。

新しいというかオリジナルの登場人物ばかり(だと思うの)ですが、キャラクターが立っている上に劇中の役割や見せ場もばっちりで、これはもうお見事と大絶賛したくなります。

この人はこういうキャラクターで、こういう感じに活躍するんだろうな〜、みたいなことは想像しやすいのですが、それをちゃんと、丁寧に、期待以上に描写してくださるので、安心感というか、見ていてすごくしっくりと気持ちに合います。

BLOOD-C のテレビアニメ最終回とか、スペース☆ダンディのゾンビ回とかを思い出すような、ハイスクールオブザデッドとかもそうかもしれませんけれども、進撃の巨人も含めちゃえ〜、みたいな勢いの、よくわからない外敵で町中が大パニックという、まあ、これを春日部でやるわけにはいかないわなあ、と納得の、てんやわんやの大混乱。

パニックものとしての恐怖感をしっかりと描きながらも、同時に、怖いばかりの一辺倒にならないように小マメに笑い要素が組み込まれていて、この笑い要素がまたことごとくツボをおさえているもので、はじめのうちは笑っていいものか探り探りだったのが、次第に大笑い、爆笑、と発展していくような楽しさで。

笑いすぎて涙がにじむ勢いで。

おもしろおかしいくだらない方向の「おもしろい」と、恐怖パニック的な「おもしろい」と、野原一家の、とくにヒロシさんとミサエさんの絆みたいな部分の「おもしろい」と、その他諸々、スマホに依存する女子の人だったり、ヒザに爆弾を抱えるプロレスラーだったり、愛を歌う伝道者だったり、町を支える町長さんだったり、その補佐的な保安官さんだったり。

とくに町長さんの主張は、フクシマ的な側面を感じるような部分もあるし、過疎化が加速する地域を示唆しているのかもしれないし、ひょっとしたら諷刺的な意味合いもあるのかもしれませんけれども、たぶんそれは主眼ではなくて、どこにでもありふれたよくある普遍的な姿なのかもしれません。

むしろ、あの使命感みたいな、ノブレスオブリージュ感が、なんかいいなあ、と思います。



脚本のうえのきみこさんはスペース☆ダンディで一躍名を馳せたのも記憶に新しいわけですが、映像作品における脚本家さんの役割の比重がどのくらいであるのかは外部からは見えないので脚本家さんだけ名指しするのも違うのかもしれませんけれども、やはりそれなりの貢献はなさっているのではないかしら、と推察する次第です。