境界の彼方 過去篇 感想

映画「境界の彼方 過去篇」を観ました。

原作未読。
テレビシリーズ未見。

いきなりの唐突なアイドルダンスにあわや3本連続アイドルものかと危惧しましたが、
中身はまったくもって正統派のセカイ系でした。

女性アイドルが歌って踊る場合に、アニメだと男性バックダンサーって珍しいような気がします。

実写というか実在のアイドルさんというか歌手さんではわりかしフツーのような気がしますけれども。
不思議です。

と思いましたが、そもそも歌って踊る系の勃興の祖たるハルヒさんでは男女混成でしたか。
京アニさんの系譜なのかしら。



異能力を持つ人たちという題材は、時系列的な前後関係はわからないながらも、同じ会社で壮絶なパロディ作品(恋がしたい)を作ってしまっているというのが、皮肉というか、劇中の彼ら彼女らはものすごく真剣に生きているのですけれども、ついつい茶化したような滑稽なような穿った見方をしてしまいそうになりました。

一時期隆盛を誇ったセカイ系ジャンルが、消費されて減衰してきているように感じるのも、「邪気眼的」「中二的」であることに自覚的な、お道化て誤魔化す傾向が支配的になってきているのかもしれません。

神崎蘭子さんみたいな存在をそのままに受け容れることができるだけの度量を持ちたいとは思いますけれども、なかなか難しいのかもしれません。
世界は狭量です。



メガネに関しては、上条春菜さんも大喜びではないかと思います。

門外漢ですので、さほど言及できる言葉を持ちませんけれども、そういえば、横顔のときに眼鏡の弦で瞳が隠れる描写というか、弦にしっかりと幅があること自体が、珍しく感じてしまいました。

なんとなく、弦を透過して瞳が見えていたり、なぜだか弦の途中が消失して瞳が見えるものが多いようなイメージを漠然と持っていたもので。
(具体的な作品例は思いつかないのですけれども。)



「不愉快です。」

主人公さんの口癖というかキャッチコピーのような感じで、繰り返し使われるので印象的ですし、そこに込められた感情も場面場面で異なるという複雑さなのですが、それだけに、「不愉快」という単語自体の、文字面なのか音の並びなのかわかりませんが、ネガティブなイメージが強い感じがしてしまって、もったいない気がしました。

受け取り方は人によって違うと思いますので、あくまでも、ぼく個人がネガティブなイメージを持ってしまっているという固定観念かもしれませんけれども。

劇中の現実度の階層みたいなものが複層になっているようで、どこまでが現実なのか幻想なのかが初見では少しわかりにくく感じましたけれども、
(現実らしい現実と、異能力や化け物が出てくる現実と、夢や幻みたいな非現実と、向こう側へ行ってしまったような非現実と、みたいな複層的な階層世界)、
ちゃんと読み込めばわかるようには作ってありそうな信頼できそう感もあります。

冒頭と結末の反復が美しくて、その上で続編へ引く巧妙さが、残酷にも見えました。

未来篇も観たくなります。


未来篇の感想→http://d.hatena.ne.jp/fkt2/20150502/1430538855:TITLE