機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル 感想

映画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル」を観ました。

原作は1巻だけ読んだような気がしますけれども、もしかしたら買っただけで読んでいないかもしれません。

テレビアニメーション機動戦士ガンダム」の前日譚、の様相。

戦争一辺倒の深刻なお話かと思っていたのですが、意外にコミカルな描写もあったりして、ただ重苦しいだけのお話というわけではありませんでした。

ムンゾ国が独立してジオン国となっていくあたりを描くのでしょうかしら。

ガンダム」本編では赤い彗星と呼ばれたシャアさんの異名の由来みたいなところから始まって、
シャアさんことキャスバルさんの幼少期に遡ります。

あまり詳しくないので正確ではないかもしれませんが、ご容赦ください。



そんなわけで、ムンゾ国のトップだったジオンダイクン氏が病に倒れて、次の座を狙う権力闘争と化していくわけですが、ほんと、男子ってくだらないですね。

権力や地位や名声や武勲や保身ばかりを考えていて、
国としての将来を見据えているまともな人はザビ家のパパン(デギンさん?)くらいではないかしら。

そんなくだらない男社会において、むしろ気を吐いていたのは、女性陣でありましょう。

キシリア様、アストライア様、ハモンさん。
もちろんアルテイシアさんも。
婆さまも。

厳しい社会環境にありながら、それぞれに、確固とした存在感を示していたように思います。



(※注記: 個人的に女尊男卑的な性差別意識を有していますので、意図せず差別蔑視的な表現を使うかもしれませんが、ご寛恕いただけましたら幸いです。
また、ご指摘いただけましたら修正するよう努めます。)



そんなわけで、「ガンダム」に登場する女性は、かっこよさと脆さを兼ね備えていて素敵だなあ、と改めて思います。



まずは何といってもキシリア様。

おねしょた案件としても抜群です。

個人的にはVガンダムでのルペ・シノさんを思い出す方向性。

黒に近い暗色の並ぶ葬列の中で燦然と輝いていた、文字通りの紅一点が、すごく象徴的に見えました。
あの悪目立ち感。

騎兵隊を引き連れて救援に馳せ参じた場面の王子様っぷりも素敵です。

功を焦ったり、少しばかり思慮が足りなさそうな感じだったり、ギレンお兄さま大好きっぽかったりと、どこかポンコツっぽい雰囲気もまた愛らしいと思います。



アストライア様は、儚げでありながらもしなやかさを感じるような、「母性」属性を体現したかのような存在に見えます。

ランバさんをはじめ、男性を魅了する魔性も兼ね備えていそうな雰囲気。

塔に閉じ込められるところも含めて、お姫様的な存在として描かれているのかもしれませんけれども、
そしてローゼルシア様に言い負かされたりしていましたけれども、
決して無知というわけではなくて、生き抜く智恵とか強かさみたいなものを持ち合わせているように見えます。



ハモンさんは、本編の主人公と言ってもよさそうな厚遇に見えました。

落ち着きはらっていて思わせぶりな、熟思黙想型の人かと思いきや、意外に直情径行的な、短絡的で猪突猛進なところもあるのかもしれません。

ちょっとばかり作戦がガバガバで、勢い任せに突っ切ろうとするノリのよさ。

キャスバルさんに対してはあまり興味を示していなかったような気がするので、おねしょた案件としてはやや弱いかもしれませんけれども、
あわや薄い本ルートかという分岐点が設定されてしまっていたりしたわけですが、
あそこまで露骨なのは、ちょっと、いいぞもっとやれ。



アルテイシアさんは、たぶん、今作の中では、ドズルさんと一・二位を争うくらいに表情が豊かだったのではないかしら。

とくに、ジト目が、たいへん素晴らしいです。

年齢はよくわかりませんけれども、境遇としては、某ロリンジョ様と重なるような気もします。



そして、ローゼルシア様。

どうやらジオンダイクン氏の正妻のようですが、あいにく、お子に恵まれなかったようで。

ジオンダイクン氏とは政策やらヒトの革新やらスペースノイドの在り方やら、社会情勢から国の将来像まで、熱心に語らい合うほどの知識と思想を持った才媛でおられるご様子。

この上なくお似合いのご夫妻であられたことでしょう。

しかし、仕事と家庭とを必ずしも両立し得ないというのは男女の性は関係ないのかもしれませんし、お子は天の采配なのかもしれません。

男女の仲が理性でどうにかなるのであれば、世の中はもっと平和であることでしょう。

このあたりは「悼む人」を観たことで、より考えさせられもしましたし、混乱もしています。

愛情ではなく、執着。

理に優れた人であっても、情に支配されてしまうこともあり得る云々。

難しいお話です。







ともあれ、キャスバル兄さんは、両親をはじめとする周囲の大人たちが妹ばかり優遇する中で育ったがために、内心をこじらせてバブみ(死語)を求める方向へ育ってしまったのではないかと疑ってしまいます。

年長の子の宿命かもしれません。