「王道」について、補足

我ながら視野が狭いとは思うのですが、どうしたって、知らないものは知り得ないわけです。

知識としては獲得できても、その時代雰囲気肌感覚まで体感できるわけではありません。

たとえばこれ以前、「ガンダム」が金字塔ではありますが、「アトム」の評価は難しいにしても「28号」から「マジンガー」「ダンバイン」「イデオン」「マクロス」「ボトムズ」……、ロボットを扱う作品は枚挙に暇がありません。

その世代を体感していない立場から見ても、現在のような弱肉強食ではなく、まさに群雄割拠、一作一作がジャンルを開拓してきたかのようです。



今の若い世代は、「エヴァ」はともかく「ナデシコ」や「エスカフローネ」を(ロボットではないけど「ウテナ」も)知らないのかと思うともったいない気持ちになりますが、
それは先達が私たちに対して「マジンガー」も「イデオン」も知らないのかと嘆くのと相似形なのかもしれません。



先日、「増補エロマンガ・スタディーズ」という本で、「ミーム」という概念を知りました。

情報を伝達する遺伝子のような概念だそうで、本来はもっと大きな概念のようですが、
まんが・アニメ作品に限定・矮小化するなら、ある作品で発生した要素が別の作品へと伝達・波及・拡散していく現象を説明するのに使われるようです。

その情報要素はまんが・アニメ作品に限らず、実写作品や活字作品など異なるメディア間でも伝達され、受け取る側になることもあれば、発信する側にもなりえます。



「王道」という概念は、このミームのようなものなのではないでしょうか。

ある要素が発生し、あるものは模倣され、拡散し、普及していくことで、定型として確立される。

あるものは一時的な発露だったかもしれませんが、潜伏し、世代を隔てて思わぬところで応用される。

後続が現れるか否かによらず、その要素が発生したこと自体に、意味がありそうです。

その中で「王道」として認識されるには、なるほど「好意的に」受容されるというのは重要な因子かもしれません。

「王道」というひとつの道があるわけではなくて、ネットワークのような相互的な影響関係という認識が、ひとまずは納得しやすそうです。