レストー夫人

三島芳治「レストー夫人」(集英社)

「レストー夫人」という同じ題目の演劇を、毎年、それぞれのクラスで脚色して演じるしきたりのある学校のお話。

記録係だったり、演者さんだったり、二人一役かつ一人二役だったり、衣装係だったり、それぞれの立場から、「演じる」ことを通じて、いろいろと考えさせられます。

現代日本の)学校教育というシステムにおいて、演劇という教材が扱われることはよくあるように思いますが、
このように演目を限定することで、「演じる」ことに焦点を絞ることができているのかしら、などと思いました。

この単行本では、とある1クラスだけが抽出されていますけれども、それが何年も蓄積されてきたと想像すると、なんかすごい。

現実の学校でも、演目は違えどもいろいろな劇が毎年のように全国各地で演じられていて、そこにもそれぞれの物語があるわけで、
そのようにして、人間関係の構築と処世術を身につけていく訓練になっているのかもしれません。

はまちもしくは俺ガイルで平塚先生が言うところの、「仲良くするのではなく、そりが合わない相手ともうまくやっていく術を習得する」場。

集団で一丸となって何かを為すという経験を強制することで、社会に適合するように矯正していくプログラム。

調和と共存。

箱庭。



上述したとおり、あくまで1クラス分だけしか描かれていませんが、他のバリエーションも(作中で少し言及があったりしますが)見てみたいと思いました。

レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)

レストー夫人 (ヤングジャンプコミックス)