魔女の宅急便 感想

映画「魔女の宅急便」を観ました。

原作未読。
空を飛ぶ能力を持つ魔女見習いの娘さんが独り立ちするお話。

コリコの街での魔女の扱いが、微妙に気になりました。
歌手の人の姪っ子さんのお母様が亡くなるまではそこに居たのではないのかしら。
百年くらい前にも居たようなことを言っていた気がしますし、もう少し身近でもよさそうな気がします。
呪いみたいな負の感情を向けられるのはきついです。
お届けものを突き返すとか、意味がわかりません。

「嵐の中で血清を取りに行くみたいな話にはしたくなかった」と宮崎駿監督が言っていたと思いますが、フツーの人がフツーに撮ると、こうなってしまうのだなあ、というのがよくわかりました。

中心喪失病(みたいな名前だったかしら?)、怖い。
けど、台詞で説明されただけに思えて、わかりにくい。
正直、わざわざ嵐の中を飛んで行かなくちゃならない緊急性は感じません。

ジブリの教科書では、宮崎駿版は「才能」をめぐるお話だという読み方があって、こちらの実写版もそれに準拠している気はしますけれども、個々の事象があまり有機的に結びついているようには見えづらいかも。
自転車の挿話あたりは良い感じでしたけれども。
歌手の人とウルスラさんとの役割の差は歴然。
ウルスラさんとキキさんと一人二役ということもあいまって生じる効果とはかけ離れてしまっていて、こちらではキキさんと関係ないところで「唐突に歌うよ〜」で終わっている感じ。

ジジさんも何のためにいたのか分からず、あまり印象に残りません。
居なくなったり戻ってきたりの間に物語を感じられず……。
自分の読解力が無いのかもしれませんが。
宮崎駿版でのあの存在感と役割に比べてしまうと、いかにももったいない。
ジジさんの言葉がわからなくなる、というだけでドラマを感じさせる宮崎駿さんの手腕でしょうか。

そんなわけで、決して悪い作品だとは思いませんが、対照的に宮崎駿版のすごさばかりが浮かび上がってしまい、あえて実写版を撮ろうとした意図はあまりわからなかったのでした。

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