折れた竜骨 上・下 感想

米澤穂信「折れた竜骨」上・下、創元推理文庫

剣と魔法が支配する時代、北海に浮かぶイングランドのソロン島で起きた領主殺害事件のお話です。

人を操る魔法だの呪われたデーン人の襲撃だのと、禍々しいです。

魔法で操られた人はその間の記憶を失っているため、殺人を犯していても自覚がありません。
あくまでも理詰めで実行犯を特定するしかないようです。
はたして、何でもありに思えてしまう魔法の世界で、推理はどこまで真相に迫れるか。
はらはらどきどきです。

個人的なお気に入りは、マジャル人のハール・エンマさん。
イングランド語を解さない異国の女性ですが、期待に違わず大活躍を見せてくれました。

語り部である領主の娘アミーナ様もなかなかかっこいいです。

以下、ネタバレ注意









というわけで、実行犯については、意外ではあるものの常套手段ではないかしらとも思えてしまいます。

昨夜観た某映画もそうでしたし。

ともあれ、解決編で、関係者を全員集めた中で1人ずつ容疑者を除外していくところは、あれにそんな意味があったのか〜、と感服させられました。
ただ、ほんとに事件の解決だけにしか興味が無いようで、え?、それでいいの?、となることもしばしば。
時代の違い、文化の違いでありましょうか。

そんなわけで、論理的に構築された論理的な魔法の世界では、やはり論理が優るのかしら、と思わされたのでした。

折れた竜骨 上

折れた竜骨 上

折れた竜骨 下

折れた竜骨 下