マーガレット・サッチャー　感想

老いたサッチャーさんが過去を振り返るお話です。
現代のお年寄りの悲哀と同時に、英国の激動の時代がまざまざと描かれています。

サッチャーさんのお年寄りっぷりが、ほんとにもうお見事としか言い様がないくらい。
現役時代の凛とした姿との落差が激しくて、物悲しいです。

そして、英国の歴史。
今までろくに知りもしませんでしたが、暴動ばっかりてたいへんな国だったんだなあ、という印象です。
英国の印象がちょっぴり変わりました。

男性ばかりの政治の世界に、女性ながら単身で切り込んでいった姿は、勇ましくかっこいいものでありました。
食料品店の出身ならではの、一般市民の視点を忘れない部分も好感。
一気に時流に乗っていく様子は圧巻でした。

それだけに、終盤では周囲の人心が離れていってしまう姿は痛々しくもありました。
それでも、生涯をかけてサッチャーさんを支えた、夫の人の存在は大きかったのだろうと思います。

お話の根幹が、夫の人の遺品を整理する、という部分に、夫の人の大きさがあらわれているように思います。