蒼路の旅人

上橋菜穂子「蒼路の旅人」(新潮文庫)を読みました

新ヨゴ皇国の皇太子・チャグムさんの、波瀾万丈な大冒険のお話。

北の大陸に位置する、新ヨゴ皇国をはじめとする諸国に対して、
南の大陸を支配し、なおも勢力を拡大し続けようとするタルシュ帝国の脅威が迫りつつある状況。

様々な危機をくぐり抜けて、チャグムさんはタルシュ帝国を目の当たりにするわけですが、
その雄大さや、考え方の全く異なる文化に、圧倒されます。



新ヨゴ皇国の内部でも、チャグムさんの父親でもある帝と、皇太子であるチャグムさん、さらにまだ幼い第二皇子のトゥグムさん、と内部での派閥対立があったりと、
国の中も外も敵だらけの様相ではありますが、

バルサさんたちに鍛えられてたくましく育ったチャグムさんは、勇敢に立ち向かっていくことになります。



今巻でも魅力的な登場人物は満載です。

筆頭は、サンガル海賊船の女船頭のセナさん。
チャグムさんは囚われの身としてセナさんの船に乗ることになりますが、次第に心を開いていきます。

また、タルシュ帝国への旅に同行するヒュウゴさんは、通訳兼案内役のような立場ですが、胸の内には何やら秘めているものがあるらしく、一筋縄ではいきません。

そして何より、タルシュ帝国のラウル王子の威厳と活力、世界を手中におさめようとする野心の大きさに圧倒されるだけではなく、支配下に置いた枝国の扱いにもただ押さえ付けるだけではない采配で、器の大きさを見せつけてくれます。



終盤、チャグムさんはとある決断をして、行動にうつします。

この先、チャグムさんの行動がどのようにして世界を動かすのか、
続きが気になります。