獣の奏者3探求編

上橋菜穂子獣の奏者3探求編」(講談社)を読みました

文庫化されたり、「獣の奏者エリン」としてTVアニメ化したりしたファンタジー作品の、続編です。

前巻の終幕、『降臨の野(タハイ・アゼ)』から十一年の月日が流れています。



いやぁ、圧巻。

リョザ神王国の真王と大公との対立が終結して平穏を迎えたかに見えたのものの、懸念されていたとおりに、未だに火種は燻っていたり、
さらには他国との外交問題やら、国境近くの保護領やら、地理的にも視野が広がっていき、
そこに、王獣や闘蛇の秘密も、より深く絡んできて、
生命的な深さと、歴史的な奥行きに、エリンさんが翻弄されていくことになります。

これは、同時に、エリンさんが、亡き母ソヨンさんと再び向かい合うことでもあり、
自身も母となったエリンさんとの対比が、美しくも、ほろ苦いです。

妻としてのエリンさんは、とにかく、夫の人(あえて名前は伏せますが)との相思相愛っぷりが、微笑ましいです。

とくに、夫の人(あえて名前は伏せますが)のべた惚れっぷりが素敵です。

あと、ときおり垣間見える夫婦生活にどきどきしちゃったり。

会話が少なそうなご夫妻なので、どんな家庭なのか心配にもなりますが、幸せな年月を積み重ねてきたようで、ほっとします。

二人の愛情が、愛くるしい息子くんに結晶したかのようです。

お父さんの息子くんに対する不器用っぷりもまた、微笑ましい。



そんなこんなで、謎の深まり具合といい、世界の広がり具合といい、歴史の奥行き具合といい、
圧倒的な力を持ってお話が展開します。

無粋を承知で他の作品を引き合いに出すと、
風の谷のナウシカ」の、映画版とまんが版くらいに、深さも広さも格段に増している感じ。


事前の情報では、なんだか不吉な雰囲気もありますが、
とにかく、完結編への期待が高まっています。



あとは、今回はまだ顔出し程度だったクリウさんが、今後、どんな活躍をしてくれるのか、楽しみです。