ある日、爆弾がおちてきて

古橋秀之ある日、爆弾がおちてきて」(電撃文庫)を読みました

あとがきをそのまんま抜粋する形になりますが、
「“フツーの男の子”と“フシギな女の子”のボーイ・ミーツ・ガール」な7つの短編集です。

普通のペースで生きている男の子の横を、「属する時間が違う」女の子が、追い越したり目の前を通り過ぎたりしていく、“時間モノ”のバリエーションが豊かなお話です。


以下、ネタバレですが、バレたところで問題はないかな〜とも思います。


1.ある日、爆弾がおちてきて

時間の「停止」がテーマらしいです。

浪人生の長島くんの元に、ある日、自称「最新型の爆弾」を名乗る広崎ピカリちゃんが舞い降ります。

ピカリちゃんの胸には“トキメキ☆ドゥームズデイ・クロック”という、懐中時計のような起爆装置が埋め込まれていて、
「セーシュン的なドキドキ感」が高まると時計の針が進んで、十二時を指した時にどかーん!!となるわけです。

ピカリちゃんのアホの子っぷりがなんとも楽しいですが、
結末はちょっぴり切なくほろ苦いです。

個人的には、天野こずえさんの短編「夢空界」を思い出しました。



2.おおきくなあれ

時間の「逆行」です。

阿呆風邪は、脳にきます。
ゴードン症候群という病名の通り、記憶が退行してしまうのです。

幼馴染み設定というのは、ファンタジィですね?



3.恋する死者の夜

「ループ」ものです。
ホラー(?)です。

藤子・F・不二雄先生の「流血鬼」というとちょっぴり違うかもですが、そんな感じ。



4.トトカミじゃ

「長短の差」です。

学校の図書館に宿る「トトカミ」さまのロマンチックなお話と見せかけて、蒲田くんと星野さんのお話だったのかしら?

狼と香辛料の結末が気になります。



5.出席番号0番

「乗り換え」です。
時間?と疑問に思わないでもないですが。

三年A組出席番号0番・日渡千晶は、いわゆる憑依人格というやつで、クラスメイトの体を日替わりで借りている、というお話です。

そういうのは大事ですね?



6.三時間目のまどか

「時間差」です。

ドラえもんでも窓ネタの名作がありましたけど、(あの窓にさようなら、でしたか…)、
こちらもなかなか素敵です。

はっぴーえんどは良いものです。



7.むかし、爆弾がおちてきて

「飛び乗り」だそうです。

この短編集の中ではいちばん、男の子が積極的に動きます。

女の子が動かないので?

膨大な時間を飛び越えた、壮大な一秒のお話でしょうか。

加速していく時間の描写は見事で、これぞSF、という感じです。