人類は衰退しました 3

田中ロミオ人類は衰退しました 3」(小学館ガガガ文庫)を読みました♪

1(実際は無印)と2 では、一冊に二編の構成でしたが、今回は「妖精さんの、おさとがえり」の一編でした。


旧人類である人間様のすべての記録を集積しようという、遠大で無謀なヒト・モニュメント計画が発動しました。

これに伴い、語り手で主人公であるところののわたしこと調停官閣下、愛称「孫ちゃん」の暮らすクスノキの里でも、近くの都市遺跡の発掘調査を行うことになりました。

調査のために、衛星から電力が供給され、クスノキの里でも、大掛かりな「来て見てシビれる夏の電気祭り」が開催されます。

しかしながら、現人類であるところの妖精さんたちは、電磁波を避けるため、お別れすることになってしまいました。

妖精密度が激減した中、遺跡都市を舞台に、孫ちゃんと助手さんの大冒険が展開されます…


ポイントは、裏表紙にもある通り、「エネルギーの補給は計画的に!」です。

人間様にとって、水分がいかに大切で重要で不可欠なものであるか…

事前の準備は大切ですね。

また、トラバサミからペガサスを助けたり、いわくありげな指輪やペンダントやお守りを所持したり、といった用意も肝要です。

妖精密度の小さな世界では、生存可能性を高めるためには、人為的に伏線を張り巡らせておく必要があるのです。


そんなわけで、ヒト・モニュメント計画やら、隕石落下のモノリスやら、ぴおんさんやら、おやじさんやら、といった伏線が一点に集束する様は、お見事でした。


そういえば、BUMP OF CHICKEN の「orbital period」も素敵でしたね。



さて、水と平行して、電力や電磁波といったエネルギーが、もう一方の主題でしょうか。

人間様の文化、特に都市文明の要なわけですが、その恩恵と同時に弊害も生じます。

特に妖精さんに及ぼす影響の恐ろしいこと…

まさに「電磁波浴びるとだめに」なっちゃうんですね…

「かきみだされるゆえ」
「くるおしくなることも」
「いきるちからをうしなうとのこと」
「かなしみをもたらしすぎます」
…電磁波こわい。


ところで、照射範囲と調理器具とを混同した電磁波攻撃は、大変危険だと思うのですが、取扱説明書の記載には細心の注意を払わなくちゃ、ですね。